化粧品のパッケージで見かける「医薬部外品」「薬用化粧品」の表記。なんだか、薬に近そうで化粧品としての効果が高そうなイメージがありますよね。それ以外の化粧品とこの2つ、どうのように違うのでしょうか?
このブログでは化粧品メーカーに勤務するsissyが、化粧品の種類の違いについてお伝えします。これを読めば、今後に化粧品を選びやすくなりますよ♪
《薬用化粧品》や《医薬部外品》は特別な化粧品ではありません
「医薬部外品」「薬用化粧品」とそうでない普通の「化粧品」、これらはぶっちゃけ大した違いはありません。3つともに、あくまでも化粧品の範疇を出ないもの。
化粧品の定義とは?
人体に対する作用が緩和なもので
人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかにたもつためのもの
化粧品のなかでの違いは、ある一定の基準を満たしているかどうか?ということだけ。そして、基準を満たしているからといって効果が高いわけでも、有効成分が沢山入っているわけでもありません。
反対に、普通の化粧品が、効果が低い分けでも、有効成分が少ないわけでもないのです。
3つの表現《薬用化粧品・医薬部外品・一般化粧品》の違い
まずは薬用化粧品・医薬部外品・一般化粧品の3つについて、その分け方を整理しましょう。
化粧品は大きく2つ
- 薬用化粧品
- 一般化粧品
に分けられます。
薬用化粧品は、医薬部外品に属するもののひとつです。
医薬部外品とは?
医薬部外品は化粧品と医薬品の中間的なもので、薬用化粧品だけに限りません。
次のようなアイテムも医薬部外品です。
- 育毛剤(養毛剤)
- 染毛剤
- パーマ液
- 口中清涼剤
- 薬用歯磨き粉、
- 浴用剤
これに、美容液・化粧水・クリーム・石けんなどの薬用化粧品が加わって、すべて医薬部外品なのです。
有効成分が規定量配合されたことが承認されたものが《薬用化粧品(医薬部外品)》
薬用化粧品とそれ以外の一般化粧品の違いは、「承認された有効成分が規定量配合されているか」ということだけ。
「承認された有効成分が規定量配合されていること」を、検査機関で検査しお役所で承認がとれれば「薬用化粧品を名乗っていいよ~」とお墨付きがもらえるといった具合です。
薬用化粧品は認められた「有効成分」が規定量配合されているため、一定の期待効果が得られると位置づけられます。化粧品のPRをするための表現方法も少し幅広くなるため、化粧品メーカーは躍起になって医薬部外品の承認を取り、「薬用化粧品」を名乗りたがるわけなのです。
効果は化粧品の種類だけでは測れない
薬用化粧品のほうが効果が高く、一般化粧品のほうが低いということはありません。
薬用化粧品は、確かに国が有効と認めた成分が配合されていることが証明されています。けれども「規定量」しか配合されていないというデメリットもあります。
薬用化粧品といえども、「人体に対する作用が緩和なもの」という範疇を出てはいけないので、決められた濃度以上の成分を配合できません。
例えば、ビタミンC。ビタミンCは濃度が高くなれば効果も高くなる成分なので、一般化粧品では10%程度の濃度のアイテムもあります。ところが薬用化粧品の場合は3%程度まで。それは、医薬部外品の「規定量」がこの程度に定められているからっです。
確かに濃度が上がれば、刺激も強くなるので高ければ高いほどうよいということではありませんが、一般の化粧品のほうが、成分が多く入っていて効果が高いというケースも少なくありません。
ただし、薬用化粧品でなければ配合できない「医薬部外品扱い」の成分もあります。美白で知られている「トラネキサム酸」がそのひとつ。トラネキサム酸は一般化粧品では配合できないので、トラネキサム酸配合の化粧品は、かならず薬用化粧品となっています。
コスト高で価格が上がる薬用化粧品
一定レベルの、「有効成分の配合」が保証されている薬用化粧品ですが、価格はどうしても割高になってしまいます。
それは医薬部外品の申請にコストと時間がかかるからです。
医薬部外品の承認をとるためには、申請の際に「承認された有効成分が規定量配合されていること」を証明するために検査機関で検査をしてその結果を提出しなければません。そのコスト、商品の価格に反映されてしまいます。
申請から承認まである程度の時間がかかり、時間がかかることはすなわちその間の人件費などのコストがかかるわけですから、これまが商品価格に影響します。
このような理由から、一般化粧品で薬用化粧品の承認が取れる内容の商品でも、コストの面からあえて承認を取っていないものもたくさんあります。
「薬用化粧品」の表示を盲信しないこと
薬用化粧品は、医薬部外品の一部である化粧品のこと。一般化粧品との違いは、「承認された有効成分が規定量配合されていること」という点だけ。この基準は一般化粧品と大きく違うかと言えばそうではなく、むしろ一般化粧品のほうが効果が高いものもあります。
ただし化粧品の品質は玉石混交なので、認められた有効成分が規定量配合されているという点はクリアしているのが薬用化粧品なので、一定のレベルに達しているのが薬用化粧品ということはできるでしょう。
世の中にはやたらと薬用化粧品が出回っていますが、薬用でもあくまでも化粧品の範疇をでません。薬とは目的も異なり、一般化粧品と効果は大差ない(品質の低い化粧品を除く)ので、価格が高めに設定されていることも考慮して選ぶようにして、「薬用化粧品」の表記で商品価値を盲信しないようにしましょう。
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